能登の旅(3)

珠洲市のかつての湯治場に建てられた隠れ宿です。柴犬クウちゃんのおでむかえを受けました。美しいきなりのカヤがつられた寝所はお姫様気分。陰翳礼讃の宿でした。浴槽は輪島塗り。やや白濁したお湯に浸かっていると、うしお汁の具(骨付き肉)になり、これから怪物に喰われそうな感じを味える和風ファンタジ−湯です。
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見附島から車で北へ10分足らず、廃線になった能登鉄道のレール跡を横切ると、田んぼが開け、片隅には上戸駅がぽつりと残っている。宝立山に向って西進。杉木立をすり抜けると、カエデのアーチの向こうに「さか本」さんの宿がひっそりとたたずんでいた。駐車場までトコトコと柴の老犬がお迎えに出てきた。
玄関の白い暖簾をくぐると、ほの暗い中、左手にかまどが、正面には茶箱のような家具が置かれ、そこにアキノキリンソウが1本、茶花のように生けられていた。裸足でお堂みたいな頑丈な廊下を踏んで、天井の高い10畳ほどのゆったりしたひと間へ。隣室には白いカヤの中にすでに床がのべられていた。全館、太い柱や梁は黒い漆塗りである。食事は地のお魚や野菜を使った豪華な精進料理。野菜がたっぷり入ったさつま揚げが美味。
世界中を旅したという宿のご主人のたどり着いたスタイルは、宿坊のよう。自然で気どりのないくつろげる宿。一人部屋は昔の文士に似合いそうな雰囲気だ。庭には様々な樹木を自生しているかのように植え、竹林や蓮池、クレソン池を配し、水辺はアオサギの食事場にもなっていた。
中庭の桜の下に、いたずらっ子のラブラドル犬タイ君がつながれ、柴犬クーちゃんとともに愛想をふりまき、そこだけ民家の庭先のようだった。

左:勝手知ったる山道です。朝、散歩についてくるクーちゃん。右:浴室の外は竹林。これが輪島塗の浴槽です。フラッシュたいて撮影したら真っ赤っかでした。












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